今回ご紹介する作品は、『月読』です。
短編作品で、作者は少女漫画家の山岸凉子さんです。
イザナキが生んだ三貴子であるアマテラス、ツクヨミ、スサノオのうち、唯一ほぼエピソードのないツクヨミが主役です。
ツクヨミの姉への複雑な想いが妖しく描かれます。
基本情報
作者:山岸凉子
単行本:自選作品集「月読」に収録
初出:1986年
掲載誌:月刊ASUKA
舞台、作品傾向
時代:神代
シリアス・ギャグ度:シリアス
おすすめポイント
- ツクヨミの姉に対する想いが切ない
- アマテラスの悪女っぷりがいっそ清々しい
あらすじ
勤めであるシビト守りを終えた月之男(ツキノオ)は、休んでいたところを従者に起こされる。姉である日女(ヒルメ)からの呼び出しだった。
呼び出された先では、須佐之男(スサノオ)が暴れていた。弟の須佐は子どもっぽく我が儘。しかし日女は須佐には甘く、月之男にはつれなく当たる。
日女が月之男を呼び出した理由は、保食神(うけもちのかみ)から新しい食物の種を分けてもらうようにとの依頼だった。月之男は保食神を訪ねていくが……。
登場人物紹介
月之男(ツキノオ)
別名・月読命(ツクヨミノミコト)。
黄泉の国から帰った伊邪那伎命(いざなぎのみこと)が禊(みそぎ)をした際に生まれた、三貴子(さんきし)の一柱。
夜を守るのが仕事。生真面目で、青白い肌と美しい瘢痕(はんこん)、冷たく険しい顔貌を持つ。
姉である日女に特別で複雑な感情を抱いている。
日女(ヒルメ)
三貴子の一柱。月之男の姉。別名・天照大御神。
気高く美しい容貌をしている。月之男には冷たく、須佐之男には甘い。
須佐之男(スサノオ)
日女と月之男の弟。
大人だが、童顔で、大声で泣きわめくなど言動もひどく子どもっぽい。
姉を慕っている。
まとめ
『月読』を紹介しました。
日女のキャラ造形が斬新。月之男の姉に対する複雑な想いが切ないです。
短編集の表題作で、あっという間に読めます。