今回ご紹介する作品は『卑弥呼―真説・邪馬台国伝―』です。
その名の通りヒミコを主役とする本作。弥生時代を舞台にした漫画は珍しいのではないのでしょうか。
本作のヒミコはたくましく、したたかです。もっといえば悪人です。自分が生き残ることを目的とし、他人を陥れることもいといません。
しかしその目的のためにも、世を平和にすることを考えるようになります。己の知力で乱世を渡る彼女には不思議な魅力があります。
基本情報
作:リチャード・ウー、画:中村真理子
単行本:既刊17巻
単行本発行年:2019年~
連載:ビッグコミックオリジナル(連載中)
舞台、作品傾向
時代:弥生時代
シリアス・ギャグ度:シリアス
おすすめポイント
- 史料の少ない弥生時代の物語を楽しめる
- これまでにない斬新なヒミコが見られる
あらすじ
百以上の国が相争っていた、倭国大乱の時代。
日向(ヒムカ)の地は賊に襲われ、多くの人の首が晒されていた。
日食を利用し、見張りを殺して養母の首を取り返した少女がいた。名はヤノハ。
全てを失ったヤノハは、暈(クマ)の国の日の巫女の長・ヒルメに見いだされ、種智院(シュチイン)で戦女(イクサメ)見習いとして暮らすことになる。
そこで知り合ったのが、祈祷部(イノリベ)に属する見習いのモモソ。彼女はヒルメの養女であり、特別な霊力をもっていた。
モモソは日見子(ヒミコ)だと目されていた。男子に天照(アマテラス)が降れば日見彦(ヒミヒコ)、女子に降れば日見子。倭国大乱を鎮めるにはどうしても日見子が必要だとモモソは言う。
ヤノハの望みはこの世で天寿を全うすること。そのためにモモソの友人となり彼女を利用しようとするが、想定外の事態が発生。試練を経て、ヤノハは偽物の日見子として、本物を演じ続ける宿命を負うことになるのだった。
登場人物紹介
ヤノハ
本作の主人公。日向の日の守の養女。
戦士として優れ、また知恵もある。
戦乱の世を生き残るため、友人のモモソを利用。
計画の狂いから、日見子(ヒミコ)として生きていくことになる。
モモソ
日の巫女の長・ヒルメの養女で跡継ぎ。
天照大神をその身に降らせることができる。日見子の最有力候補。
短くても人の世を楽しみたいと望み、男性に興味を持ったところを、ヤノハにつけこまれる。
まとめ
『卑弥呼―真説・邪馬台国伝―』について紹介しました。
自分が生き残りたいと望み、悪に手を染める新しいヒミコ像。
そんな彼女ですが、倭国の平和を目指し、知力を尽くすようになります。
ビッグコミックオリジナルで連載中です。